SD-Retinex
シグモイド関数の導関数を設計原理にした、学習不要で CPU でも速く動く低照度画像強調手法。論文・コード・評価結果を公開しています。
SD-Retinex は、学習を必要としない決定的な Retinex 手法です。モデルの重みやデータセットへの当てはめはなく、NumPy と OpenCV だけで CPU 上で動きます。
しくみ
- シグモイド関数の導関数
σ'にもとづく安定したカーネルで、照明を分離型フィルタで推定します。 - 有界なトーンマップで暗部を持ち上げ、出力を [0, 1] の範囲に収めます。
- 先行手法 XCR のカーネルは
σ'を虚軸上でサンプリングしたものに等しく、ロジスティック関数の極によって不安定になります。SD-Retinex は、これを実軸上のカーネルと有界なトーンマップに置き換えました。
結果
LOL eval15(15 組の画像)での平均値です。
| 手法 | PSNR ↑ | SSIM ↑ | ΔE₀₀ ↓ | ms/枚 ↓ |
|---|---|---|---|---|
| 入力(無処理) | 7.77 | 0.195 | 37.08 | 0.03 |
| SSR | 8.99 | 0.527 | 31.88 | 151.01 |
| MSR | 8.91 | 0.525 | 32.09 | 604.31 |
| XCR | 9.83 | 0.403 | 30.91 | 24.36 |
| SD-Retinex | 16.47 | 0.487 | 15.90 | 18.41 |
学習不要の手法の中では、PSNR と ΔE₀₀ が最も良く、処理時間も最短でした。SSIM は SSR と MSR のほうが高く、ペア画像で学習した深層モデル(URetinex-Net、Retinexformer)には及びません。処理時間は同じ表の中での比較です。
公開しているもの
- 論文: doi:10.5281/zenodo.20945211(Zenodo, 2026)
- コードとデータ: GitHub・doi:10.5281/zenodo.20945119
- ライセンス: コードは MIT、図と評価データは CC BY 4.0
SD-Retinex は Beacon の中核の技術です。